012 林の女と兵士の男

とある国で、不思議な板が見つかった。その板の上に乗ったものは、同じものが一つ増える。

 

どんなものでも同じ。

 

しかし大きな違いが一つだけ。増えたものは、すこし時間が経ったものだった。 例えば果物なら、その葉が大きくなり、果実も少し痛んでいた。

 

これを使って兵士を増やすことが試みられた。

 

思い出のある椅子は、二つと無い。その椅子を誰にも取られたくない。二人に増えた兵士の男は、もう一人の自分を消したくなった。

 

だが、もう一人の兵士の男は、それどころではなかった。彼は恐ろしい未来を見たからだ。増えた方は、じつは増えたのではなくて、未来から呼び寄せられた同じものだった。

 

兵士の男が未来の板の上で目覚めると、ある女性が待ち構えていた。この国がこの板を乱用して大地が割れて、国が滅びたと教えてくれた。そして、過去に戻ったらこの板を破壊してくれと言った。

 

そう言い終えた女性は、この板を守るように、この国の兵士たちと戦いはじめた。

 

過去に戻った兵士の男はすぐに板を破壊した。そして反逆者とされ、兵士の男は国を追放された。あの椅子への悲しい未練を少し克服できた。滅びた世界を見たとき、大切なのは、思い出を与えてくれた愛そのものだと、気がつかされたから。

 

むしろ、そのことに気づく未来が、もう一人の自分にも来るようにと、祈った。それに気づかなくて敵を憎むしかないのは、悲しい人生だからだ。

 

未来で出会った女性は、空から落ちてきたアレに乗ってきたと言っていた。兵士だった男は彼女に会うため旅立った。